丹頂堂印刷
 
 市川大門の中線六丁目のところです。
 明治の始め頃に建てられ、百年ほど経っているようです。製糸業で成功された大寄又座衛門さんの建てたお家です。
 市川一の千本格子が美しいと言われています。母屋と印刷所の二階建てのお蔵とつながって30メートルもの間口になっています。中央のつながっている部分、5メートルほどが車の通れる門になっています。
千本格子は厚いけやきの板でささえています。東隣の教会側から見ますと、棟瓦に、大寄と名が入れられているのが読み取れます。その南隣に、二階建てのお蔵座敷が見えます。市川教会の漆喰造りの建物とよく合い、市川の町並みの特筆すべき風景の一つです。土間にある大戸は厚いけやき造りで、一間巾で土間に円の四分の一のレールが敷いてあって開け立てに九十度回転します。
内側には、十cmの正方形の細やかな桟の障子の建具がついています。表座敷と今の間は、源氏襖です。梁も深く立派で、天井が高く広々しています。一階は、八畳が四間で、襖や障子を取り除くと正方形の大広間になります。二階は、一階の土間部分もあるので、十畳が二間と八畳が二間になっています。中庭の向こうに、倉座敷があり、お蔵の扉が左右に開けてあります。中庭には池があり、水路が台所の床下を通っていました。台所の床が高いので、少し降りるようになり、その部分が少し深くなっていて、改装する前は、ここで洗いものをしたそうです。母屋に続いている印刷所の二階のお蔵も見せていただきました。母屋から続く扉を開けますと、二十メートルも長く、大きい棟木に。曲線を帯びている太い梁が、交差しています。梁の太さは、八十㎝もあるでしょうか、見事なものです。中門や、屋敷神があり、倉庫に使われた広い土蔵があります。